この記事の執筆者 森川 髙司(もりかわ たかし)|医療法人煌仁会 森川内科クリニック 理事長・院長
内科医。奈良県立医科大学卒業後、呼吸器・消化器・腎臓・糖尿病などの内科診療に従事し、平成28年に尼崎・塚口で開業。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・診断からCPAP療法の導入・毎月の継続管理、高血圧・糖尿病など合併症の一括管理まで一貫して行う地域のかかりつけ医。
「いびきがひどいと言われたけれど、何科に行けばいいのかわからない」——外来でとてもよく聞く言葉です。結論から言うと、最初の受診先は内科で大丈夫です。この記事では、なぜ内科が入口になるのか、耳鼻咽喉科・歯科はどんなときに登場するのか、それぞれの役割の違いを整理し、尼崎・塚口での受診の流れと費用まで解説します。
結論:迷ったら、まず内科へ
• いびき・睡眠時無呼吸が疑わしいとき、最初の相談先は内科で問題ありません。診断に必要な検査(自宅でできる簡易検査・PSG)と標準治療のCPAPは、内科で一貫して行えます。
• 耳鼻咽喉科は「鼻やのどに原因があるとき」、歯科は「マウスピース治療を行うとき」に、診断のあとで登場する専門科です。どちらも、必要になれば内科から紹介できます。
• 「何科かわからない」と迷っている時間が、いちばんもったいない時間です。迷った段階でご相談ください。
なぜ「何科かわからない」と受診が遅れてしまうの?
結論:いびきが「病気の症状」だと思われていないからです。外来で実際に多いのは、こんな経過です。何年も前から家族にいびきを指摘されていたけれど、「いびきくらいで病院に行くのも」と受診しないまま過ごしていた。ところが健康診断で血圧の高さを指摘され、高血圧の相談で当院を受診したときに問診でいびきと日中の眠気がわかり、検査をしてみると中等症以上の睡眠時無呼吸症候群が見つかった——というケースです。
この方の場合、いびきを指摘されてから診断まで、数年の空白がありました。その間、睡眠中の無呼吸は毎晩続き、血圧にも影響していた可能性があります。「何科に行けばいいかわからなかった」という理由で受診が遅れるのは、本当にもったいないことです。だからこそ、この記事で受診先の迷いをなくしていただきたいのです。
なぜ最初の受診先が内科でいいの?
結論:睡眠時無呼吸症候群が「のどだけの病気」ではなく「全身の病気」だからです。理由は3つあります。
第一に、診断と標準治療が内科で完結します。SASの診断に必要な簡易検査・精密検査(PSG)と、中等症以上の標準治療であるCPAP療法は、内科で検査から導入・毎月の管理まで一貫して行えます。
第二に、SASは高血圧・糖尿病・不整脈などの生活習慣病と互いに悪影響を及ぼし合う病気です。先ほどの実例のように、SASの患者さんは血圧や血糖の問題を同時に抱えていることが多く、無呼吸だけを切り離して治療するより、全身をまとめて管理するほうが理にかなっています。内科はそれができる診療科です。
第三に、原因の見極めと交通整理ができます。診察と検査結果から、鼻やのどの構造に原因があれば耳鼻咽喉科へ、マウスピース治療が適していれば歯科へ、内科から適切な専門科へおつなぎします。最初にどの科を選ぶか患者さんが悩む必要はなく、入口をひとつにできるのが内科の役割です。
耳鼻咽喉科はどんなときに受診するの?
結論:鼻やのどの「形」に原因があるときの専門科です。次のような場合には、耳鼻咽喉科での診療が力を発揮します。
• 扁桃腺が大きく、気道を物理的に狭くしている場合(手術で改善が見込めることがあります)。
• アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症などで鼻づまりが強く、いびきの原因になっている場合や、CPAPのマスクがうまく使えない場合。
• お子さんのいびき(小児SASは扁桃・アデノイド肥大が主な原因で、当院の睡眠外来は18歳以上を対象としているため、小児は小児科・耳鼻咽喉科の受診をご案内しています)。
当院でも、検査の結果や診察所見からこれらが疑われる場合には、耳鼻咽喉科へ紹介しています。逆に、耳鼻咽喉科で「のどに大きな異常はない」と言われたのに眠気が続く方は、内科での検査で無呼吸そのものを調べる段階です。
歯科はどんなときに登場するの?
結論:マウスピース(口腔内装置)で治療するときの連携先です。軽症〜中等症の方や、CPAPがどうしても合わない方には、下あごを前に出した位置で固定して気道を広げるマウスピース治療という選択肢があります。
ここで大切なのは順番です。SAS治療用のマウスピースを保険で作るには、医師の診断と歯科への依頼(紹介)が必要です。つまり「最初から歯科へ行けばマウスピースを作ってもらえる」わけではなく、まず内科などで検査を受けてSASと診断されることが出発点になります。当院では、マウスピースが適していると判断した場合に、SAS用装置の作製経験がある歯科へ紹介しています。
3つの科の役割を比較すると?
診療科 主な役割 受診のタイミング
内科 問診・検査(自宅の簡易検査/PSG)・診断・CPAP導入と毎月の管理・高血圧や糖尿病など合併症の一括管理・専門科への紹介 最初の相談先。いびき・眠気が気になった段階
耳鼻咽喉科 鼻・のどの診察。扁桃肥大や鼻づまりなど構造的な原因の治療・手術 診断後、鼻やのどに原因があるとわかったとき(内科から紹介)
歯科 マウスピース(口腔内装置)の作製・調整 診断後、マウスピース治療を選んだとき(医師の依頼が必要)
→ 治療法ごとの違いと選び方は:CPAPとマウスピース、手術の違いは?睡眠時無呼吸症候群の治療法の選び方(C7)
内科での受診は、どんな流れで進むの?
結論:初診→自宅で検査→約2週間後に結果説明、という流れです。当院の場合を例にご説明します。

  1. 初診:問診と診察で、いびき・眠気の状況、血圧などの全身状態を確認します(3割負担で約2,000円)。予約なしで受診できます。
  2. 自宅で簡易検査:検査機器がご自宅に郵送で届きます。いつもどおり眠る夜に1日装着するだけで、痛みはありません(3割負担で2,500〜4,000円)。
  3. 結果説明:機器の返却後、約2週間で結果をご説明します。必要な場合は、より詳しいPSG検査を院内で行います(3割負担で約15,000円)。
  4. 治療の相談:検査結果(AHI)と原因に応じて、CPAP・マウスピース・生活改善から治療方針を一緒に決めます。
    → 検査の詳しい内容と費用は:睡眠時無呼吸症候群の検査はどう受ける?自宅でできる簡易検査とPSG検査の流れ・費用(C2)
    尼崎・塚口エリアで受診するには?
    当院(森川内科クリニック)は、JR塚口駅から徒歩3分のミリオンタウン塚口2階にあります。木・金は20時まで受付、土曜・日曜も診療しており、予約なしで受診できます(駐車場無料)。お仕事帰りや週末に、検査から治療まで通える体制です。すでに他院でCPAPを使っていて通院先を変えたい方は、紹介状(診療情報提供書)をお持ちください。
    → SASの全体像(症状・検査・治療・費用)はこちら:睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?症状・検査・治療・費用のすべて(ピラー)
    まとめ:受診先で迷う時間をなくしましょう
    いびき・睡眠時無呼吸の受診先は、まず内科。耳鼻咽喉科と歯科は、診断のあとに原因や治療法に応じて内科からつなぐ専門科です。「何科かわからない」ままいびきを放置して、健診の異常ではじめて病気が見つかる——そんな遠回りをする方を、一人でも減らしたいと考えています。迷った段階で、お気軽にご相談ください。
    森川内科クリニック(医療法人煌仁会) お電話:06-6439-7337 / 兵庫県尼崎市上坂部1丁目4の1 ミリオンタウン塚口2階(駐車場無料)/ JR塚口駅から徒歩3分 / 木・金は20時まで受付、土曜・日曜も診療 / 予約なし受診可・Web予約も承っています
    よくあるご質問(FAQ)
    Q1. いびきだけで眠気はありません。それでも受診したほうがいいですか?
    A. 「いびきが急に止まり、しばらくして大きな音とともに再開する」「息が止まっていたと指摘された」のいずれかがあれば、眠気がなくても一度ご相談ください。無呼吸があっても眠気を自覚しない方は少なくありません。毎晩の大きないびきだけでも、検査を受ける十分な理由になります。
    Q2. 耳鼻科で「のどに異常はない」と言われました。眠気が続く場合はどうすれば?
    A. 内科で無呼吸そのものを調べる段階です。のどの構造に大きな異常がなくても、睡眠中には筋肉がゆるんで気道がふさがることがあります。自宅でできる簡易検査で、実際に呼吸が止まっているかどうかを確認しましょう。
    Q3. かかりつけの内科があります。そこで相談してもいいですか?
    A. もちろんです。まずはかかりつけ医にご相談ください。その際、「SASの検査とCPAPの管理を行っているか」を確認されるとスムーズです。行っていない場合は、検査からCPAP管理まで対応している内科(当院もその一つです)を紹介してもらう方法があります。
    Q4. 子どものいびきも診てもらえますか?
    A. 当院の睡眠外来は18歳以上の方を対象としています。お子さんのいびきは扁桃・アデノイド肥大が原因のことが多いため、小児科または耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
    Q5. マウスピースで治療したい場合、最初から歯科に行けばいいですか?
    A. いいえ、まず内科などで検査と診断を受けてください。SAS治療用のマウスピースを保険で作製するには、医師の診断と歯科への依頼が必要です。診断の結果マウスピースが適していれば、当院から作製経験のある歯科へ紹介します。