生活上の支障や高血圧のリスクにつながる

【放置すれば意外に高リスク】
受診をためらうことなくCPAP療法で快眠を

睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気ですか?

睡眠中に10秒以上の呼吸停止を繰り返し、深い睡眠が取れない状態が続く病気を睡眠時無呼吸症候群(SAS)といいます。眠っている間に呼吸が止まって目覚め、また眠りに落ちるというのを一晩中繰り返す症状があります。そのため、脳や体の酸素が不足してさまざまな問題が引き起こされます。代表的なタイプは閉塞性と呼ばれるもので、主として肥満や鼻詰まり、アルコール摂取などによって上気道がふさがれることで発症します。男性に多いイメージがありますが、女性でも年代によっては罹患率が上がるなど、決して少なくないのが現状です。や舌の大きさといった体型や、生活習慣とも密接に関連していますので、先入観にとらわれることなく専門家の意見を聞くことが大切です。

受診のきっかけとなる症状を教えてください。

無呼吸や低呼吸は睡眠中に起こりますから、なかなか本人が自覚できるものではありません。特徴的な症状としていびきがあり、「いびきがうるさい」「たまに息が止まっている」とご家族から指摘があって受診される例が多く見受けられます。自覚しやすい症状としては、睡眠が浅いことによる日中の強い眠気や頭痛、夜間頻尿などがあり、他にも集中力や記憶力の低下、起床時の喉の渇きなどが挙げられます。夜中に2回以上トイレに立ったり、少し動くとすぐに息切れしたりする方は要注意とい えるでしょう。いずれにしても自己判断するのではなく、まずは専門知識のある医療機関を受診するのがお勧めです。いびきや眠気が起こる原因を客観的に調べることから始めてください。

放置すると、どのようなリスクがありますか?

睡眠時無呼吸症候群の一番の問題は日中の活動へのさまざまな悪影響で、眠気や集中力低下で仕事の能率が上がらず、ケアレスミスや会議中の居眠りを誘発。車の運転中に睡魔に襲われ追突事故を起こしてしまうケースも。社会に対する影響も決して少なくないといえるでしょう。また、夜間に呼吸が止まるというのは、例えれば「水の中で溺れている」ような状態。低酸素状態となり心臓に 負担がかかるため、高血圧や心疾患、脳血管障害といった生活習慣病の悪化にもつながります。こうしたさまざまなリスクを重く受け止め、現在は循環器内科などを中心に、症状のある方の治療を積極的に進めていく流れになっています。

具体的な治療法について教えてください。

治療はCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法と呼ばれる、就寝時に装着したマスクへ空気を送り込み、気道を広げて無呼吸を防止する手法が最も一般的です。また軽症に対しては、歯科で作製する専用のマウスピースを使った治療も普及しています。こうした装置を用いる治療に最初は煩わしさを感じるかもしれませんが、続けていくうちに睡眠の質の改善も望めます。肥満の解消などに並行して取り組むことで、さらなる改善が期待できるでしょう。睡眠時無呼吸症候群は、きちんと治療さえ受ければ症状をコントロールできる病気です。ぜひ早めに専門の外来を受診し、快適かつ健康的な生活を送れるよう、治療を受けてください。