“この記事の執筆者 森川 髙司(もりかわ たかし)|医療法人煌仁会 森川内科クリニック 理事長・院長
内科医。奈良県立医科大学卒業後、呼吸器・消化器・腎臓・糖尿病などの内科診療に従事し、平成28年に尼崎・塚口で開業。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・診断からCPAP療法の導入・毎月の継続管理、他院からの転院受け入れまで一貫して行う地域のかかりつけ医。
「引っ越してきて、CPAPの通院先を探しています」——当院への転院のご相談で、実際にいちばん多いのがこの理由です。CPAPは毎月の通院が必要な治療だからこそ、「通いにくさ」は治療そのものを揺るがします。この記事では、CPAPの転院はできるのか、何を持っていけばいいのか、機器やデータはどうなるのか、手順と注意点をまとめて解説します。
結論:要点は3つです
• CPAPの転院はできます。必要なのは、今の主治医に書いてもらう紹介状(診療情報提供書)です。
• 機器はそのまま使えます。メーカーやレンタル業者は原則そのまま引き継げるため、慣れたマスク・機器を替える必要はありません。
• 大切なのは治療を途切れさせないこと。毎月の受診の流れが空かないよう、転院のタイミングは外来でご相談ください。
そもそも、CPAPの病院は変えてもいいの?
結論:まったく問題ありません。CPAPは保険診療であり、管理できる医療機関であれば全国どこでも治療を継続できます。転院は「特別なお願い」ではなく、日常的に行われている通常の手続きです。
むしろ問題なのは、通いにくさを我慢し続けた結果、受診が途切れてしまうことです。CPAPは毎月の受診とセットの治療なので、通院が負担になった時点で、治療の継続そのものが危うくなります。「病院を変えるのは悪い気がして」とためらっているうちに足が遠のく——それがいちばん避けたい展開です。
どんな理由で転院する人が多いの?
結論:当院で実際に多いのは「引っ越しで通えなくなった」です。転勤や住み替えで前の通院先が遠くなり、毎月の通院が現実的でなくなったというご相談が最も多く、次いで「平日昼間しか診療しておらず、仕事を休まないと通えない」「土日に通える医院に変えたい」という診療時間のミスマッチが続きます。
どの理由も、治療への意欲がなくなったわけではありません。生活と治療の折り合いがつかなくなっただけです。であれば、生活に合う通院先へ変えるのが正解です。
転院の手順は?何を準備すればいい?
結論:手順は4つ。患者さんに準備していただくのは、実質「紹介状」だけです。当院で受け入れる場合の流れをご紹介します。
- 今の主治医に転院の意向を伝える:「引っ越しで通えなくなる」など理由をそのまま伝え、紹介状(診療情報提供書)の作成を依頼します。紹介状には、検査結果(AHI)・CPAPの設定・治療経過など、引き継ぎに必要な情報が記載されます。
- 当院を受診する:紹介状をお持ちのうえ、ご来院ください。予約なしでも受診できます。保険証(マイナ保険証)と、お使いのCPAP機器の情報がわかるもの(機種名など)があるとスムーズです。
- 機器と管理の引き継ぎ:機器メーカー・レンタル業者は原則そのまま引き継げます。状況により、機器はそのままで契約先を当院提携の業者に変更する場合もありますが、いずれの場合もお使いの機器・マスクを替える必要はありません。手続きは当院と業者の間で進めます。
- 毎月の管理を当院でスタート:以降は毎月当院を受診いただき、遠隔モニタリングのデータを一緒に確認しながら治療を続けます。
機器・マスク・データはどうなるの?
結論:「今のまま」が基本です。転院と聞くと、機器を返却して新しいものに慣れ直すイメージを持たれる方がいますが、そうではありません。
• 機器・マスク:原則そのまま使い続けられます。せっかく体に馴染んだマスクを手放す必要はありません。
• レンタル契約:業者をそのまま継続する形と、機器はそのままで契約先だけを当院提携の業者に変更する形があります。どちらになるかは機種・業者により、当院で確認して進めます。
• 治療データ:紹介状の情報に加え、遠隔モニタリングのデータ連携を切り替えることで、使用時間や無呼吸の残り具合を当院で引き続き確認できます。設定圧が今の体に合っているかも、転院を機に見直します。
費用は変わる?
結論:保険診療のため、大きくは変わりません。当院でのCPAP管理の窓口負担は、3割負担で月4,500〜5,000円ほどです(機器レンタル・毎月の診察・管理を含む。2026年7月時点)。転院そのものに特別な費用はかかりません(紹介状の発行には、前の医療機関で所定の費用がかかります)。
転院で治療を途切れさせないための注意点は?
結論:「前の病院の最終受診」と「新しい病院の初回受診」の間を空けないことです。CPAPは毎月の受診を前提とした保険診療のため、受診の空白が長くなると、治療管理が途切れてしまいます。引っ越しなどで転院の予定が決まったら、前の主治医に早めに伝え、紹介状を受け取ったら間を置かずに新しい通院先を受診してください。当院では、転院初回の外来で次回以降の通院ペースまで一緒に決めています。
当院で引き継ぐ場合の体制
当院(森川内科クリニック)は、JR塚口駅から徒歩3分。木・金は20時まで受付、土曜・日曜も診療しており、予約なしで受診できます(駐車場無料)。お仕事帰りや週末に毎月の通院を組み込める体制です。また内科として、CPAPの管理と併せて高血圧・糖尿病などの合併症も一括して診られるため、通院先をひとつにまとめたい方にも適しています。
→ CPAP治療そのものの内容・効果・続けるコツは:CPAP療法とは?効果・月額費用・通院頻度・続けるコツを内科医が解説(C3)
→ SASの全体像(症状・検査・治療・費用)はこちら:睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?症状・検査・治療・費用のすべて(ピラー)
まとめ:通いやすさは、治療の続けやすさ
CPAPの転院は、紹介状ひとつで始められる通常の手続きです。機器もマスクもそのまま、変わるのは「通いやすさ」だけ。引っ越しや働き方の変化で通院が負担になっているなら、それは治療をやめる理由ではなく、通院先を見直すサインです。尼崎・塚口周辺への転居でCPAPの通院先をお探しの方は、お気軽にご相談ください。
森川内科クリニック(医療法人煌仁会) お電話:06-6439-7337 / 兵庫県尼崎市上坂部1丁目4の1 ミリオンタウン塚口2階(駐車場無料)/ JR塚口駅から徒歩3分 / 木・金は20時まで受付、土曜・日曜も診療 / 予約なし受診可・Web予約も承っています
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 紹介状なしでも転院できますか?
A. 原則として紹介状(診療情報提供書)をお願いしています。検査結果(AHI)やCPAPの設定圧など、安全に治療を引き継ぐために必要な情報が詰まっているからです。事情があって用意が難しい場合は、まず一度ご相談ください。状況を伺ったうえで、必要な手順をご案内します。
Q2. 今の病院に転院を言い出しにくいのですが……。
A. ご安心ください。紹介状の発行は医療機関にとって日常的な業務であり、失礼にはあたりません。「引っ越しで通えなくなる」「診療時間が合わなくなった」と事実をそのまま伝えていただければ十分です。主治医も、治療が途切れるより転院して続くほうを望んでいます。
Q3. 転院のタイミングはいつがいいですか?月の途中でも大丈夫?
A. いつでも可能ですが、毎月の受診の流れが空かないタイミングがスムーズです。目安は「前の病院での次回受診予定のころに、当院の初回受診を入れる」こと。引っ越し日程が決まった段階でご連絡いただければ、切り替えの段取りを一緒に組みます。
Q4. CPAPの設定圧や使用データは、新しい病院に引き継がれますか?
A. 引き継がれます。紹介状に記載された設定・経過に加え、遠隔モニタリングの連携を切り替えることで、使用時間や無呼吸の残り具合を当院で引き続き確認できます。転院は設定を見直す良い機会でもあり、初回外来で現在の体に合っているかを確認します。
Q5. 通院が面倒になってきて、転院よりCPAP自体をやめようか迷っています。
A. やめる前に、まず通い方を変えることを考えてみてください。CPAPを中断すれば無呼吸といびきは元に戻ります。「通いにくい」が理由なら、土日や夜に通える医院への転院で解決できるかもしれません。やめたい本当の理由(不快感・費用・効果を感じないなど)があれば、それも含めて外来でお聞かせください。”
