この記事の執筆者 森川 髙司(もりかわ たかし)|医療法人煌仁会 森川内科クリニック 理事長・院長
内科医。奈良県立医科大学卒業後、呼吸器・消化器・腎臓・糖尿病などの内科診療に従事し、平成28年に尼崎・塚口で開業。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・診断からCPAP療法の導入・毎月の継続管理、高血圧・糖尿病など合併症の一括管理まで一貫して行う地域のかかりつけ医。
「検査って入院するんでしょう?」「痛いことをされるのでは」——睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査について、外来でよくいただく心配です。結論から言うと、検査はまずご自宅で、いつもどおり眠るだけ。痛みはなく、入院も不要です。この記事では、検査の種類と流れ、結果の見方(AHI)、費用の実額、そして2026年6月に変わった保険基準まで、まとめて解説します。
結論:要点は3つです
• 検査はまず自宅の簡易検査から。機器は郵送で届き、装着して眠るのは1日だけ。結果は約2週間でご説明します(3割負担で2,500〜4,000円)。
• 結果は「AHI=1時間あたりに呼吸が止まった・浅くなった回数」で判定します。2026年6月から、簡易検査でAHI30以上なら、そのまま外来でCPAP治療を保険で始められるようになりました。
• AHIが30未満でも、昼間の眠気が強い方には、より詳しいPSG検査(当院では院内で実施・3割負担で約15,000円)を行って診断を確定します。
SASの検査には、どんな種類があるの?
結論:「自宅でできる簡易検査」と「精密検査(PSG)」の2段階です。ほとんどの方は簡易検査から始めます。
簡易検査(自宅) 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
調べること 睡眠中の呼吸の状態・血液中の酸素の低下 呼吸・酸素に加え、脳波・眼球運動・心電図など睡眠そのものの質
場所 ご自宅(機器を郵送でお届け) 当院では院内で実施
装着するもの 指や鼻などの小型センサー 頭部・体に複数のセンサー
痛み・入院 痛みなし・入院不要 痛みなし
費用(3割負担) 2,500〜4,000円 約15,000円
AHIとは?いくつから「病気」なの?
結論:AHI(無呼吸低呼吸指数)とは、睡眠1時間あたりに無呼吸(10秒以上の呼吸停止)と低呼吸(呼吸が浅くなる状態)が起きた回数です。この数値で重症度を判定します。
AHI 重症度の目安
5未満 正常範囲
5〜15未満 軽症
15〜30未満 中等症
30以上 重症
大切なのは、AHIは「眠気の強さ」と必ずしも一致しないことです。AHIが高くても眠気を感じない方もいれば、中等症でも生活に支障が出るほど眠い方もいます。数値と症状の両方を診て治療方針を決めるのが、内科での診療です。
自宅でできる簡易検査は、どんな流れで受けるの?
結論:受診→機器が自宅に届く→1日装着→返却→約2週間後に結果説明、の流れです。当院での実際の流れをご紹介します。

  1. 外来を受診:問診と診察で、いびき・眠気・血圧などを確認し、検査をお申し込みいただきます(初診は3割負担で約2,000円)。予約なしで受診できます。
  2. 機器がご自宅に届く:検査機器は後日、ご自宅に郵送で届きます。再度来院して受け取る必要はありません。
  3. いつもどおりの夜に1日装着:指や鼻に小型のセンサーをつけて、いつもどおり眠るだけです。装着は1日(一晩)だけで、痛みはありません。
  4. 機器を返却:説明書に沿ってご返却いただきます。
  5. 約2週間後に結果説明:外来で、記録されたデータをご一緒に見ながら結果をご説明します。
    お仕事を休む必要がなく、「普段の眠り」をそのまま調べられるのが自宅検査の利点です。
    結果説明では、何がわかるの?
    結論:呼吸が止まった回数(AHI)だけでなく、「そのとき体に何が起きていたか」が目に見えてわかります。
    結果説明の外来で、患者さんの反応がいちばん大きいのは、実はAHIの数字ではありません。睡眠中の血液中の酸素濃度が、無呼吸のたびにガクンガクンと繰り返し下がっているグラフをお見せしたときです。「自分が寝ている間に、こんなに酸素が下がっていたのか」と、そこで初めて病気を実感される方がとても多いのです。いびきは音の問題ではなく、体が酸素不足と闘っているサインなのだと、グラフが何よりも雄弁に教えてくれます。
    2026年6月から、検査後の流れはどう変わった?
    結論:保険でCPAP治療を始められる基準が引き下げられ、簡易検査だけで治療に進める方が増えました。2026年6月の診療報酬改定で、CPAP導入の基準は次のように変わりました。
    検査 改定前 2026年6月から
    簡易検査 AHI(REI)40以上 AHI(REI)30以上
    PSG検査 AHI 20以上 AHI 15以上
    これまで、簡易検査でAHIが30台の方は、CPAPを保険で始めるために精密検査(PSG)を経る必要がありました。改定後は、簡易検査でAHI30以上であれば、そのまま外来でCPAP治療を開始できます。当院でも、この基準に沿って検査から治療への流れを組んでいます。
    一方、簡易検査でAHIが30未満だった方でも、昼間の眠気が強い場合には、当院ではフルPSG検査(院内実施)を行います。簡易検査は脳波を測らないため、実際より無呼吸が少なく見えることがあるからです。PSGでAHI15以上が確認されれば、改定後の基準でCPAP治療の対象になります。「簡易検査で基準に届かなかったから終わり」ではなく、症状のある方を精密検査できちんと拾い上げることを大切にしています。
    以前に検査を受けて「基準に届かない」「対象外」と言われたことがある方は、今回の改定で治療の対象に入った可能性があります。以前の結果をお持ちのうえ、ご相談ください。
    検査の費用はいくらかかる?
    結論:すべて保険診療です。当院での3割負担の窓口負担額の目安は次のとおりです(2026年7月時点)。
    項目 3割負担の目安
    初診(問診・診察) 約2,000円
    自宅でできる簡易検査 2,500〜4,000円
    終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG・院内実施) 約15,000円
    検査の結果、CPAP治療に進んだ場合は、機器レンタルと毎月の管理を含めて月4,500〜5,000円ほどです。
    → CPAP治療の内容と費用の詳細は:CPAP療法とは?効果・月額費用・通院頻度・続けるコツを内科医が解説(C3)
    尼崎・塚口で検査を受けるには?
    当院(森川内科クリニック)は、JR塚口駅から徒歩3分のミリオンタウン塚口2階にあります。木・金は20時まで受付、土曜・日曜も診療しており、予約なしで受診できます(駐車場無料)。簡易検査は自宅、PSGも院内で完結するため、検査のために遠くの病院に入院する必要はありません。
    → SASの全体像(症状・検査・治療・費用)はこちら:睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?症状・検査・治療・費用のすべて(ピラー)
    まとめ:検査のハードルは、思っているよりずっと低い
    SASの検査は、自宅でいつもどおり眠るだけ。痛みも入院もなく、費用も3割負担で数千円からです。そして2026年6月からは、簡易検査だけで治療に進める方が増えました。「検査が大変そう」という理由で先延ばしにしてきた方こそ、いまが調べるチャンスです。酸素の下がり方をご自身の目で確かめるところから、治療は始まります。
    森川内科クリニック(医療法人煌仁会) お電話:06-6439-7337 / 兵庫県尼崎市上坂部1丁目4の1 ミリオンタウン塚口2階(駐車場無料)/ JR塚口駅から徒歩3分 / 木・金は20時まで受付、土曜・日曜も診療 / 予約なし受診可・Web予約も承っています
    よくあるご質問(FAQ)
    Q1. 簡易検査の夜は、いつもどおりお酒を飲んでもいいですか?
    A. 普段どおりの夜の状態を調べる検査なので、基本的にはいつもどおりで構いません。ただし、普段飲まないのに検査の夜だけ飲酒するなど、いつもと違う条件は避けてください。服薬中の方も含め、検査前の過ごし方は機器お渡し時にご説明します。
    Q2. 簡易検査とPSG検査は、何が違うのですか?
    A. 測る項目の数が違います。簡易検査は呼吸と酸素の状態を中心に調べる検査で、PSGはそれに加えて脳波・眼球運動・心電図なども記録し、「眠りの深さ」まで含めて評価します。簡易検査は脳波を測らないぶん、実際より無呼吸が少なく見えることがあり、その場合にPSGで確定します。
    Q3. AHIがいくつだとCPAP治療になりますか?
    A. 2026年6月の改定後は、簡易検査でAHI(REI)30以上、またはPSG検査でAHI15以上が保険でのCPAP導入の目安です。ただし数値だけで自動的に決まるものではなく、眠気などの症状や高血圧といった合併症も含めて総合的に判断します。
    Q4. 以前の検査で「基準に届かない」と言われました。もう一度受ける意味はありますか?
    A. あります。2026年6月に基準が引き下げられたため、以前「対象外」だった方(簡易検査でAHI30台、PSGでAHI15〜19だった方など)は、現在の基準では治療対象になる可能性があります。また、体重や年齢の変化でAHIは変わります。以前の結果をお持ちのうえご相談ください。
    Q5. 健康診断や人間ドックで、睡眠時無呼吸症候群はわかりますか?
    A. 一般的な健康診断ではわかりません。SASの診断には、睡眠中の呼吸と酸素を記録する専用の検査が必要です。ただし、健診で指摘された高血圧をきっかけに検査を受けたところSASが見つかる、というケースは実際に多くあります。
    Q6. スマートウォッチの睡眠データで代わりになりますか?
    A. 診断の代わりにはなりません。スマートウォッチの推定値は医療機器の測定とは異なるためです。ただし「いびきの録音」や「睡眠中の血中酸素の低下傾向」は受診のきっかけとして十分価値があります。気になるデータがあれば、外来でぜひお見せください。
    参考・出典
    令和8年度診療報酬改定について